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オヤカク
[オヤカク]

「オヤカク」とは、「親への確認」の略で、企業が学生を採用する前に、その学生の親の意思を確認しておくという意味です。近年、親が子どもの就職先決定に干渉する傾向が強まり、学生本人に入社への意思があっても、親の反対で内定後に入社を辞退するケースが目立つようになってきました。それを防ぐために、企業の採用現場ではオヤカクを重視。より慎重に対応する動きが広がっています。
 

オヤカクのケーススタディ

就活キーパーソンの2、3位に父と母
バブル期の成功体験で採用現場をかく乱!?

日本経済新聞社がまとめた2015年度採用状況調査によると、主要企業の今年10月1日時点での大卒採用内定者数(15年春入社)は、14年春実績に比べて7.3%増え、4年連続で前年実績を上回りました。製造業は、業績が改善した自動車や鉄鋼がけん引し、6.1%増と3年ぶりのプラスに。非製造業も7.9%の増加ですが、人材不足が深刻な小売業が32.6%増を見込みながら10.6%増にとどまるなど、採用計画に届かない企業も目立ち、全体として“売り手市場”の傾向がより顕著になっています。

そうした中、採用活動の現場で年々影響力を増しているのが、就活生の“親”の存在です。株式会社ディスコが来春卒業予定の大学生を対象に行った、就職活動に関する調査によると、学生にとっての就職先決定のキーパーソンは、1位の「人事・採用担当者」に次いで2位が「父親」、3位が「母親」であることが分かりました。就職先を決めた学生に、決定にあたって誰に影響を受けたかをたずねたところ、最も多かったのは前年同様、「人事・採用担当者」で42.2%でしたが、次いで「父親」が37.1%、「母親」が34.8%を占め、いずれも前年よりポイントが増えていたのです。ちなみに前年調査で2位だった「友人・知人」は、父親、母親に次ぐ4位にダウンしています。

昨今は「親子就活」の過熱ぶりもよく注目されますが、こうした“親がかり”の現実がある以上、採用現場の担当者としてはやはり「オヤカク」を意識せざるを得ないでしょう。ただでさえ売り手市場で採用活動が厳しさを増す中、募集・選考を重ね、ようやく内定を出すところまでこぎつけたのに、親の反対でひっくり返されたのでは採用計画に大きな狂いが生じかねません。特に規模の小さな企業や成長途上で人手の足りないベンチャー企業にとって、内定辞退のダメージはより深刻です。

いまの就活生の親の多くが就職活動を経験したのは、まさにバブル経済全盛の頃。日本経済が拡大を続け、各企業が新卒学生を奪い合うように採用していた時代です。大卒なら比較的楽に大手企業に入ることができた当時と比べて、昨今の就職事情ははるかに厳しくなっているのに、そうした現実を知らず、自らの成功体験をもとに口出しする親が少なくありません。曰く「大学まで出したのにもっといい会社に入れないのか「ベンチャーより安定した大手のほうがいい」「そんな名前の会社は聞いたこともない」――。親が子どもの内定先の評判をインターネットで調べ上げ、「ブラック」などと書き込まれているのを見ただけで拒否反応を示すケースもあるようです。

中小企業やベンチャー企業では、こうした理解不足を解消し、先入観に基づく親の不安を少しでもやわらげようと、電話や手紙による担当者レベルの「オヤカク」だけでなく、トップ自らが学生の家庭を訪ね、親に直接あいさつをして入社を働きかけるケースも増えています。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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