「ソーシャルメディア」とは
ソーシャルリクルーティングを考えるにあたって、まずはその主要なステージとなる「ソーシャルメディア」について、一般的な知識を整理しておこう。
ソーシャルメディアとその種類
ソーシャルメディアとは、個人・組織を問わず誰もが情報を発信できるインターネットサービスである。
ソーシャルメディアが、一般的なウェブサイトと違うのは、送り手と受け手の双方向のやり取りが手軽にできる機能を内蔵していることだ。また、そのコミュニケーションの様子を周囲の参加者も見ることができ、「1対1」のやり取りが自然に「多対多」のコミュニティーへと発展していくように設計されている。また、Twitterの「リツイート」、Facebookの「いいね!」のように、参加者が共感した情報を拡散させていく機能にも非常に強力なものがある。
ソーシャルメディアは、放送(テレビ・ラジオ)や印刷媒体(新聞・雑誌など)といった従来型メディアとは大きく異なる特性を持つ。最大の違いは、ソーシャルメディアの主役が、UGC(User-Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)であることだろう。
従来型メディアでは圧倒的優位に立っていた送り手が、ソーシャルメディア上では受け手とほぼ対等になる。「良い」というクチコミを広げる力が強いのと同様に、「良くない」という情報も爆発的に広がる可能性がある。つまり、送り手側の情報コントロールが効きにくいメディアだともいえる。
ソーシャルメディアをうまく活用できれば、低コストで良いイメージを広げることが可能だ。放送や印刷に比べて、初期投資は非常に安く済む。半面、受け手側の反応に十分な配慮を行うことなく不用意な情報発信を行うと、予期せぬバッシングやイメージの悪化を招いてしまうこともある。
ソーシャルメディアには、さまざまな種類がある。以下、カテゴリーごとに代表的なサービスを紹介していく。
■SNS
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、人と人のネットワークを作ったり強化したりするインターネットサービスである。世界的には「フェイスブック(Facebook)」が最も利用者数が多く、日本では「ミクシィ(mixi)」が有名だ。
また、アメリカを中心に注目されている「リンクトイン(LinkedIn)」は、ビジネス利用に特化したSNSで、詳細な職務経歴や履歴などを公開することができる。そのためヘッドハンティングや中途採用にも広く活用されており、日本でも徐々に利用者が増えている。
SNSが普及したのは2000年代前半から。当初は「社交クラブのネット版」といった性格が強調され、知り合いの紹介がないと加入できないシステムが多かったが、最近ではFacebookをはじめ、誰でも登録できるスタイルのものが主流になってきている。mixiも2010年3月より登録制となった。
■ブログ/ミニグログ
ブログは個人が情報発信するためのツールとして、最も一般的なサービスといえるだろう。日本では、2000年代中盤にすでに2,000万人以上の利用者を獲得しており、サービスを提供する会社も大変多い。コメントやトラックバックの機能を利用して受け手と送り手がコミュニケーションすることも可能。
また、ブログには、短文に特化した「ミニブログ」もあり、その代表的なサービスが「ツイッター(Twitter)」だ。ミニブログには、ブログでありながら自分の記事を読んでいる人(フォロワー)がわかるなど、ややSNSに似た性質もある。
ブログとミニブログには以下のような特性の違いがある。
ブログ | ミニブログ | |
記事のタイプ | 長文でまとまった記事を書ける | 短文のみ(150文字前後) |
閲覧方法 | 読者が自分で読みに行く 必要がある |
フォローしていれば リアルタイムで表示される |
記録性 | 後からでも参照可能 (ストック型) |
基本リアルタイムで流れていく (フロー型) |
■掲示板
掲示板はブログが普及する以前に、最も利用者が多かったソーシャルメディアである。しかし、現在はかつてほどの勢いはない。代表的なものとしてはオールジャンルを扱う「5ちゃんねる」がよく知られるが、就職活動に特化した学生のクチコミサイトとしては「みんなの就職活動日記(みん就)」がある。
掲示板の特徴は、ほかのソーシャルメディアよりも、発言者の匿名性が高いことだろう。そのためデマなどが書き込まれたりすることも多く、一定のメディアリテラシーがないと振り回されてしまう場合もある。企業側がソーシャルリクルーティングに活用できる場面はほとんどないと思われるが、風評被害の拡大などを避けるために、チェックだけはしているという人事担当者もいる。
■動画
インターネット上で動画を共有するサービス。代表的なものは「ユーチューブ(YouTube)」で、投稿された動画を誰でも見ることができる。また、YouTubeでは生放送が可能であり、チャンネルさえあれば気軽に配信が可能だ。ただし、スマートフォンからライブ配信をする場合には、チャンネルの登録者が1,000人以上である必要があるので注意しなければならない。
「ニコニコ動画」は、基本的にはYouTubeと同じような機能が搭載されている。ニコニコ動画ならではの特徴は、生放送・動画再生時にコメントが画面の中を流れていくことである。
名称 | 概要 | 国内ユーザー数 |
---|---|---|
世界最大のSNS | (月間利用者)約2,600万人(2015年時点) | |
ビジネス特化型SNS | (会員)約200万人(2019年時点) | |
ブログ | 個人の日記からメディアまで幅広く活用されている | Ameba(サイバーエージェント) (会員)約6,500万人(2019年時点) |
代表的なミニブログ | (月間利用者)約4,500万人(2017年時点) | |
みんなの就職活動日記 | 学生のクチコミ掲示板 | (年間会員登録)約36万人(2021年時点) |
YouTube | 世界最大の動画共有サービス・ライブ配信も可能 | (月間利用者)約6,500万人(2020年時点) |
Wantedly | 日本発のビジネスSNS | (個人会員)290万人(2021年時点) |
ニコニコ動画 | 動画共有サービスとネット放送としても機能 | (発行ID数)約7,867万人(2020年) |
※2021年2月時点で手に入る最新データを元に当社で作成
- 【数値引用元】
- フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」--独占ロングインタビュー|CNET Japan
- そろそろ日本の企業も海外とのビジネス接点として腰を据えてLinkedInを活用するべきではないかと私が考える理由とは|Linkedin
- 「Ameba」がサービス開始から15周年を迎え、会員数6,500万人を突破、日本人口のおよそ半分に到達 「Amebaブログ」での累計記事投稿数は25億件超|サイバーエージェント
- Twitter Japanの2017年10月27日午前7:01のツイート
- メディア 楽天みん就|Rakuten Marketing Platform navi(最終アクセス:2021年3月16日)
- 月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に|Think with Google
- Wantedly(最終アクセス:2021年3月16日)
- ニコニコ公式生放送×NewsTVパック|株式会社ドワンゴ(PDF)